ポーランドギャラリー

・・・・・・・・・・ こぼれ話Ⅲ・色彩感覚 ・・・・・・・・・・

◆赤と黄

テレビの天気予報を見ていて気付いたことです。日本では太陽はたいがいの場合赤く表示されていますが、ヨーロッパの天気予報の太陽はほとんど黄色なのです。そういえば、昼間の太陽は直接見ることができませんが、白もしくは薄い黄色のほうがイメージとしては近いように思います。日本の太陽は、朝日もしくは夕日のイメージで赤とされるのでしょう。もっとも、日本でも最近では真夏日の表示として黄色い太陽をよく見かけますが・・・。

ハマナス
・・・?・・・

◆黄色い光◆

最初に見たワルシャワの夜景では、街灯の灯りが一様に黄色いことに驚きました。日本でも黄色い街灯は見かけますが、ここまで徹底して黄色くはないでしょう。レストランやホテル、住居などの屋内照明も間接照明か部分照明が主流のようです。それも、私たち日本人が明るいと感じる白い光ではなく、黄色い光の照明が多いのです。おそらくポーランドだけでなくヨーロッパに共通することだと思うのですが、彼らは白い蛍光灯の光よりも、黄色い光を好む傾向があるようです。大型ショッピングモールやハイパーマーケットなどの商店は、さすがに白い蛍光灯で隅々まで煌々と照らし出していますが、ホテルやレストラン、一般の住居などの屋内照明は間接照明か部分的なスポット照明が主流です。レストランでは、キャンドルの灯りを頼りにメニューを見ることになるのですが、店によっては懐中電灯が必要と感じるほどでした。(もっとも、文字が見えてもほとんど読めなかったのですが・・・。)ホテルの部屋で本を読もうとしたらスタンドの灯りが欠かせません。部屋全体を明るく照らす照明がないのです。もっとも、3年ほどこのような環境で過ごしていると、帰国して泊まった日本のホテルでは、部屋が明るすぎて落ち着かない自分を発見しているのでした。

国立オペラ劇場
文化科学宮殿

◆もっと明かりを◆

赴任して借りた住居の照明は、各部屋ごとに小さなスポットライトのようなビーム電球が天井に2~3個埋め込まれ、部屋の隅にスタンド型の照明があるだけという状態でした。特に居間は広さに比べて電灯が少なく、照明があたっているところはまぶしすぎるほどなのですが、部屋全体を明るくするような効果はありません。そこで、日本の居間では一般的な天井貼り付け型の照明器具を思い浮かべながら、家主氏に「もっと明かりを」という意味のことを片言の英語で伝えると、「わかった」と言います。早速、翌日電気屋を連れてきて工事してくれたのはよかったのですが、結果的には小さなスポットライトが10個ほどもついたシャンデリア風の照明器具が追加されただけなのでした。電球の数は増えましたが、結局まぶしいだけで部屋全体はたいして明るくなりません。日本人の私たちは夜でも部屋全体を明るく照らす蛍光灯のもとで生活する習慣がついていますが、ヨーロッパのアパートやホテルの部屋は概して暗いのです。色彩や灯りに対する感覚の違いは案外大きいようです。
  日本人の私たちは部屋全体を明るく照らして生活する習慣がついています。しかし、間接照明も慣れればそれなりのよさを感じます。多少暗くて不便でも、必要最小限の照明をうまく使いこなす工夫をすることが、生活に精神的なうるおいをもたらすことにつながるのかもしれません。

レストラン・シュヴィエントシェク(旧市街広場)
レストラン・ベルヴェデーレ(ワジェンキ公園内)



◆マックはどこだ◆

ポーランドにもファストフード店が増えてきています。住居としたミェスカーナ(集合住宅)のすぐ近くには広~い原っぱがあり、あちこちに黄色い字で“Μ”と書いた看板が立っています。ワルシャワにもマクドナルドが進出しているとは聞いていましたが、これほどたくさんとは・・・・、しかし店はどこにあるんだ・・・???  後日確認したところ、原っぱの下はメトロの駅になっていて、“Μ”はメトロの駅へ降りる入り口を示す表示なのでした。

マックはどこ?メトロ入り口
マックはどこ?
メトロ入り口

◆昼行灯(ひるあんどん)?◆

ヨーロッパでは、走行中の車は日中でもヘッドライトをつけなければなりません。ポーランドも、もとは曇天の多い冬季だけでしたが、2005年あたりから一年を通して義務づけられることになりました。最近のヨーロッパ車は、エンジンをかけると、昼間用のヘッドライトか夜間用のライトのどちらかが自動的につくようになっているそうです。
 日本でもデイライトオン運動はありますが、一部の自治体や運送会社など部分的にしか行われておらず、多くの車が夕方薄暗くなってもヘッドライトを点けずに走っているようです。一般的に明るい光を好む日本人ですが、こと自動車の点灯に関してはきわめて無神経と言わざるを得ません。トンネル内でも、無灯火で突っ込んでくる対向車の何と多いこと。運転者が自分は見えているから点灯する必要ないと思っているのでしたら、とんでもないことです。とくに最近は黒い色の車が多いだけに、ヒヤッとすることがあります。ヘッドライトは前方の道路を照らすためばかりではなく、対向する車や人に自車の存在を認識してもらうという交通安全上大切な意味があるということを、運転免許取得時や更新時にもっと徹底して指導・啓発すべきだと思います。昼間点灯は決して“昼行灯”ではないのです。ヘッドライトは夜だけ点けるものという思いこみこそ、昼行灯なのかもしれません。
 とにかくスピードを出して動く物体には昼夜を問わず前照灯の点灯を義務づけるほうが、交通安全上好ましいのではないかと思うのです。日本でも単車はすでにデイライトオンが義務づけられていますが、なぜ単車だけなのでしょうか?

デイライトオンデイライトオン
デイライトオン
デイライトオン

◆神秘的な光◆

主催者など詳細はわかりませんが、ワルシャワでは年に何回か「鉱物展」が開催されます。目玉は、琥珀、金・銀、ダイヤなど各種宝石、化石、岩塩のインテリアなどです。岩塩は琥珀と並ぶポーランドの特産品で、岩塩の塊で作られたランプやキャンドルがたくさん並べられていました。当時は気にも留めませんでしたが、帰国後に泊まった日本のホテルで久しぶりに岩塩ランプを目にして、無性に懐かしく感じました。淡いオレンジ色に光る神秘的なランプです。

鉱物展岩塩ランプ
鉱物展
岩塩ランプ
ヴィラノフ宮殿近くにて
ヴィラノフ宮殿の近くにて

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ハマナス

ハマナス

参考図書
『善意の架け橋-ポーランド魂とやまと心-』兵藤長雄 1998 文藝春秋
『ポーランドの歴史』イェジ・ルコフスキほか 2007 創土社
『ポーランド学を学ぶ人のために』渡邊克義ほか 2007 世界思想社
『旅の指さし会話帳』岡崎貴子 2004 情報センター出版局
『ポーランド電撃戦』山崎雅弘 2010 学研M文庫